どうしてだろう。
忘れたいのに、忘れられないの。

なんで、こんな簡単なことができないの。
ただ、出会う前に戻ればいいだけじゃないの。

どうして。


ほらね、という顔をして貴方は私を見下している。
どうしてなの。私、貴方なんか大嫌いなのに!

「嫌いよ。あなたなんか」
「へえ」


なによ、それ。


「忘れさせてよ」
「なんで僕が」
「責任とってよ!」
「知らないよ」
「どうして?!」
「どうして、だって?」

雲雀は嘲笑しつつ此方を横目にみて、

「一番分かってるのは君だよね」
「しらない、しらない。」
「まだそんなこというんだ」

此方に近寄って、

「じゃあこの心優しい僕が分かりやすく教えて
 あげるよ」

ほら獲物を狩る目をして。

「結局君は僕の事を忘れたくないんだ。
 そしてそれを僕に押し付けて自分は逃げるんだ。
 そうだね、それが一番手っ取り早いさ。
 は頭がいいね。」
「やめてよ!」
「やめないよ、だって本当だろ?ほら、今まさに
 逃げている。そうだろ?」

じわじわと甚振るみたいにこうやってわざと痛い
ように。
もうお陰でかなりの威力です。

「そうだね、逃げればいいよ。逃げ場なんてどうせ
 もうないんだから」
「あるわ。貴方に全部押し付けて、忘れられなくても
 全部捨てればいい!ねえ、雲雀」
「無理だね」

余裕の笑みで彼は言った。
お陰で私は思い知った。

決意はゆらぐ

「もう逃げられないのを知っててまだそんなことを」


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無駄に長い