何時もアタシはアイツの二、三歩後ろを歩く。 別に理由なんて無いけれど、前歩くのが只苦手 なだけ。 ( アタシ、あんまりアンタを必要としてないのか しら? ) 「?」 何時の間にか立ち止まって、昨日の雨の水溜りを眺 めてた。(素敵な鏡だわ) 「如何した?何か落ちてたのか?」 「なんでもない。考え事」 何だよ、考え事って。 そんな顔、してる。(嗚呼なんて解かり易い奴なの) (其処に、惹かれた?) 「・・・そんな顔しても教えない」 『隼人きっと泣いちゃうから。』 死んでも云わないんだけどね!なんて。アタシみたい なのを悪女って云うのね。 「御免ね」 そんなかすかすの言葉はきっと我儘で欲張りな 貴方のお気に召さない事位重々承知しています。 だから軽く一つ触れるだけのキスをしてみても駄目み たい。 ずっとむすって、ふくれてる。 「あははっ、隼人大好きだわ、やっぱ」 「 『やっぱ』って何だよ!」 独りで勝手に踊り狂って、是じゃ、まるでピエロじゃ ない。 アタシもご一緒するわ。猫の手でも借りたいでしょう? 「足りない」 「はいはい」 |