あたしたちは、今日。終わる。

二人の仲が終わるんじゃない。
強制終了なんだ、此の世の。

明日で世界は、なくなってしまいます。
今立っているこの地面も、手にしているお気に
入りのペンも、自分の部屋も、
もちろん自分も、何もかも。そう、
大好きな人も。

あたしはそんな大変なときだというのに、何と
ベッドで横になっています。隣には、その「大
好きな人」がちゃんといる。ずっと一緒に居て
くれているの。

あたしはもう起き上がれない。今日が峠。

「ごめん」

退が、ぽつりと呟いた。

「何も出来ない。俺。」
「そんなことないよ。あたし、凄く恐いんだ。
 でも、隣に退が居るから、安心して逝けるん
 だよ。」

あたしは、恐ろしい明日に彼を置いて、先にいく。
ひとりぼっちにするのよ、退を。

「寧ろ、あたしがあやまるべき。ごめんね」
「、は、悪くないんだ。」
「でも、貴方も悪くないの」
「じゃあ、何が、誰が、いけなかったの」

そんなの探したって見つからない。敢えて偶像を
作るのならば、神様なんだろう。ノアの箱舟の様に
救われるものと救われないものに分けられ、あたし
たちは偶々後者であったのだろう。

どうしてあたしたちは救われる側ではないの?
(そんなものが存在するはずが無いのにそうやって
 人は何か悪者を作り出し、嫉むのだ)

「ごめんね。一緒に、いけなくて、先に、行かなく
 ちゃ ・・・ごめんね・・・」

彼は黙ってあたしが泣くのを見ていた。
あたしは、唯あやまるしかなくて。あああ。彼は
明日、独りで世界の終りを受け止めなければならな
い。なんて残酷なんだろう。彼も箱舟に乗せてあげ
てよ、神様。

「俺も、今日が良かった」




てんごくにいくまえに、ころしたいひとがいる




いつまでも一緒がいい。そういった彼にあたしは
返事をすることも無く、   。


---

The world collapse