「なんであたしは今此処にいるんだろうね」


彼女はそういった。
どういうことか、尋ねる前に先に口を開いた。


「あたし、先生になんか別になりたくないし、
 学校も勉強も全然好きじゃないし、
 なのになんであたし、此処にいるのかな」


次々と問題発言をする。


「じゃあ、俺は今どうして此処にいるんですか?」


逆に俺がに聞いてみた。
俺だってそうだ。
学校も勉強もそんなに好きじゃない。
やれ規則だ、成績だ、風紀だ、って。
息が詰まる。

返事はこうだった。


「わからないけれど、あたしはあなたが今此処に
 いるから、此処にいるの」


でも、もうお別れなんだよね、
そういって彼女は苦笑した。


「教育実習も、今日で終わりだわ」


一番端の列の後ろから3番目の俺の席に
はゆっくりと座った。
頬杖をついて、彼女は窓を見てそう言った。


「俺たちも、此処で終わるんですか?」



もう一度言ってください

なんどだって いってやる  すき です



「明日の挨拶、何喋ろうかな」


声が震えて聞こえたのは、気のせいだったか。



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( センセとあたし )