「ベルは、王子なんでしょ?」 「うん。そーだよ」 「本当はこんなことしちゃ駄目なんじゃないの?」 「だろーね」 「いいの、王子様なんでしょ、ベル」 「でもその『本当は駄目』なんて 誰が決めた?」 は、見た。 俺の殺し現場。 しかもね、親。つまり王様と女王様の 死体。 なのにね、ってば結構冷静なんだよね。 おもしろいなー 俺が恐くないんだ、俺より小さいのに。 俺より大きい使用人なんか皆辞めてくんだぞ。 顔真っ青にして、ねー(でもどーせ俺、殺しちゃうんだ。 王子からは逃げられないよ) は本当に変な女。 なんか どっかの貴族、だっけ。 よくわかんないけど王族じゃないと思う。 変態親父がどっかから拾ってきたんだろーね、 その女の親はどーぞどーぞってお店の商品みたいに ポーンってを俺らに売り払ったとかね。シシシ。 でももう俺の。決めたもん。 最初は王様のものだったけど関係ないよ。 だって俺王子だもんね! それに 今までに見た女じゃない。 なんか違う。 そんな美人じゃないし、殺しなんか 出来ないし。売られたわけだから金なんか持ってねーし。 よくきいてくるよ、「アタシの何処がよかったの」って。 しらない。わからないよ。 やっぱ親子なんかなー あの親父と。 「何?も殺されたいの?」 「まさか。そんな訳ないじゃない。そんな痛そうなの御免よ」 「だーよーねー (うしし)」 「ただね、血って思ったより黒いのね」 「そーだねー だってコイツら汚いじゃん」 「じゃあ、アタシの血もきっと黒いわね」 「ふーん?なんで?」 「わかんないけど、綺麗なはずないじゃない」 「俺より随分お綺麗な人間だと思うよ」 「比べる人間を間違ってると思うんだけど」 「うっわ、しっつれーだなこのアマ」 とりあえず、この高価な大理石の床にこの女を押し倒した。 持ってたナイフで肩を切り裂いた。 普通に血は出るよ。一応コイツ、ニンゲンだもん。 でも 無表情。 痛いとも言わない、泣かない。 「何、お前。痛くないわけ?」 「うん。痛いんだけどね」 「きもちわりい女」 「そうね 本当に」 「ん、もーいいや。しんじゃえよ 、ね。」 でね。面白いんだって。 腹掻き切ってもさ、痛がらないの。 刺したままグジュグジュ渦巻きしてもね、眉間に 皺一つつくらねーの!何コイツ! 「ねえ。痛いんだけど」 「全然そんな顔してねーじゃん。本気でキモイ」 「何よ そういう趣味だったわけ」 「まさか!不感症の女いたぶる趣味はねえよ」 「誰が不感症よ。ちゃんと痛いわよ」 「じゃあ、これは?(心臓、を。)」 最後の一突きに対しての返事は無かった。 ただ、赤い血がどくどくと白い床を汚していった。 「 良かったね。赤いよ、お前の血。 」