お前が俺の名前を呼ぶ声が、なんとなく心地よかった。






閉じた光






「阿部くん、あのね 監督が呼んでるから.....」
「... ああ、ありがと」





同い年のマネジ。


物凄く控えめな大人しい奴。俺はどっちかというとこういう ウジウジした人間は苦手な達の筈なのに、何かコイツは引っかかるんだ。
別に特に可愛い訳でもないし、気が合う訳でもないし( 寧ろ疲れる感じ )、 同じクラスでもないし( 3つ離れてる )。

... 理由が全く分からない、訳じゃない。

でもありえない。





「は、榛名くん!あの、これ」
「あ やった ポカリー」





俺は絶対、奴には勝てないから。

皆が一気にはやしたてる。
彼女が「ちゃんと、皆のもあるよ!ちゃんと薄めたよ!」と、顔を真っ赤にして ポカリを人数分用意したコップに注いでいる。
皆がまだかまだかと急かす。慌てるもんだから、量がまちまちだったり、よく零してたりしたけれど それが 不思議とウザイと思わなかったんだ。( だって俺どんくさい奴嫌いだもん )だったら何を思ったんだ?と、問われても 困るけれど。





、あの」
「あ、うん?待ってね、阿部君のもねー」
「( ...違う )( いや、貰うけど )」
「はい!(にこ!)」
「( ... ) あ、ああ サンキュ」











名前を呼ばれた彼女は慌ててその俺の大嫌いな榛名元希の 所へかけていった。「なあに榛名くん!」って、子犬みたいに。

よしよし、って頭を撫でて それじゃ本当に子犬あやすムツゴロウだろ。



すると今のが伝心でもしたのか(認めたくねー)、先輩は こっちを見てニヤリと笑った(ニヤリは俺のオハコだもん!)。 見せびらかしているのか!



ああ、もう。

榛名元希が大嫌いだ。





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たぶんつづきます。