ねえ、神様。さっさと殺せば良いでしょ?
生き地獄なんて、まっぴら御免なんだから。

「コンニチハ、ちゃん」
「嗚呼、ラビ」

そうよ、早く殺して。

「何々、そんな暗い顔して」
「...本気で言ってる?」
「...まさか、御免御免」

政略結婚、間近の私。勝手に話は進められていて、もう戻れないのだ。
私が何をしたというのか。私は自分の人生を決める権利をもっていないのか。
だとしたら誰が其れを、奪った?

「もう、厭。死にたい。」

ぼそ、っと弱音を吐いてみてもやっぱり気は楽にならないし。
寧ろ何言ってんだ、私。と言いたくなる感じ。

「じゃあ、死んでみたら?」
「? 自分で死ぬのが怖いから悩んでるのよ?」
「ふーん。俺やろうか?」
「助かるわ」

近くに果物ナイフがあった。さっきおやつに林檎を剥いた時の儘だった。
手に取り、一瞬で宜しくと告げて彼の掌に置いた。

「は、冗談冗談」
「だと思った」
「俺が御前を殺せないことくらい解ってんだろ?」

首を横に振り「いいえ、ちっとも?」とかまととぶってみる。
厭な女ね、私。

ロミオとジュリエットは、きっとこんな心境だったのだろう。

「ねえラビ」

「結婚式ぶち壊しに来てね」
「そんな面倒起こしたくねーよ...」
「あら、私への愛はそんな物?」
「否、」


花束をきみに


「教会潰すかも?」


(散る花に想いを寄せて)