これは

空の青と雲が半分ずつ位で、

丁度良い春みたいな夏の日の、話。



「銀さん!西瓜食べますか?」

「西瓜だぁ?そんなモン喰ってる場合じゃねえだろ」

「えー?折角頂いたのに・・・」


戦争、真っ只中なんだぞ。

そんなことを云ったって彼女は少し眉をハの字にして

そうだね、と苦笑する。


でも、


「こんな時だから、こそ。です」

「・・・塩ある?」

「・・・西瓜に塩は邪道ですよー!」


続くと良い。


「あー!分かった分かった。」

「全然分かってません!もう。こうなったら直々に

私が教えて差し上げましょう!塩要らずの味を!」


桂サン達も此処に呼んでおいてくださいね。


其れが最期の会話。


はそういって川辺にかけていった。

後姿が夏の太陽で眩しかったのを覚えてる。

黒い髪に簪が良く似合ってた。


此の儘ずっと、続くと良い。


の姿が見えなくなって、直ぐだった。

大きな音が川の方から轟いて来たのは。


直ぐに追いかけた。

銃声が聞こえた。

更に走った。


遅かった。


ずっと、こんな日が。


愛しい人の流れていく血を見て、正気で居られるだろ

うか。そんなに俺は出来てない。


狂ったように奴等を斬った。斬っても斬っても流れて

いくだけであって、何もならないのに。

斬ることでしか、認められなかったんだ。彼女の死に。

確信したくなかった。理解したくなかった。

の消滅に。


「・・・・ぎ、んさ・・・ん・・?」


彼女微かに俺の名前を呼んで、


「其処に、いるの?」

「西瓜ねぇ・・・流れてっちゃった」

「御免ね・・・?」


返事をしない(本当は出来なかったんだ)俺に語り

掛けて、最期に御免、と言った。


「ばいばい、ごめん ね」


続いて欲しかった。


星を数え終わるまで これは 空の青と雲が半分ずつ位で、 丁度良い春みたいな夏の日の、話。 --- 突然の別れが一番恐い。と思った。