殺したい程にも愛しいと云う歪んだ愛が或るのならば殺されたい程拒む気持ちも或るのだと。


「貴方なんか大嫌いよ。」


何度も何度も云ったけれど、何度も何度も丸め込まれる。

きっと、「本当」は私が一番良く知ってる。


ほら。またそんな顔をするでしょう?

「嘘ばっかり。本当は、」って顔。私の嫌いな目。


「大嫌い。」

「へえ。そうかィ。」

「ふざけないでよ」


その余裕が厭。何でも見透かされてる其の何処からか

来る、何の保証も無いのに確信出来る何か大きな、

余裕。


少なくとも私が屈辱を受けるにはとても十分なモノだわ。


「きらい、きらい、だいきらい。」

「初耳ですぜ、其れ」

「嘘。何回も云ったわ。」

「言葉で取り繕ったって、そんなモノ全く意味を持ち

 合わせないんでサァ」


アンタが一番解かってる筈だ。

と。全く其の通り。ココロにも無いことを確実に、上手

く。気づいたのはやっぱり貴方。


「如何すれば私は自分の納得のいくモノになれるの」

「楽になる事は出来ますがね」

「其れでいい」


解かってた。其の選択肢を私に与えることを。

解かってた。だから辛い。そして幸せ。

御免ね、ちゃんときらいって云ってあげられなくて。


「いえ、 ない・・・な・・・」

「・・・余裕ですねェ」


首があつい。


嗚呼。爪が刺さる生々しい音。


「総悟、」


息も出来ない。声も、出ない。

役立たずの唇に、最後に如何か重ねて。


嘘でもいいから。

「其れがもしかしたら、一番良い、私の「本当」だもの」 つめたい心臓。」 --- 首絞めながらキスってどうなんだろう。 (駄目でしょう。)