情けない。
どうして彼女に被害が。

俺にはどうして彼女を守る器量が無いの?


「さがる」


どうして、そんな声を出すんだ。
か細い。弱弱しい。儚い。


「・・・ん?」
「くるしい」
「そう」
「・・・いたいよ・・・くるしい・・・」


しんどくてくるしくて仕方無いはずだよ。
もういっそ、死にたいだろう。

早く死なせてあげたいよ。

( もちろん、俺には、そんなこと、 )


「ごめん。」
「ううん・・・」


血がボタボタ流れてくる。
もう止まらないのは百も承知で、
死神が来るのを待っている。
どうしてなんだ?
こんなにくるしいのに。
こんなには真っ赤なんだ。
誰よりも早く此処に来てくれよ!


「だいすき」
「うん」


(  だから信じて?  )



「あたし、あなたなんてだいきらいよ」

ごめん。

「うん、俺も、だ、よ」


泣かせたのは、他でも無く俺だ。


言いたくないよね。
解かってた。

そんなこと言わせてごめん。
そんなにはらはら泣かせてごめん。
いっぱいいっぱい痛い思いさせた。
血もいっぱい、流したね。寒かったよね。

そんなに苦しかったのに。


本当なら、俺から傷つくべきだったのに。


「優しいが好きだった」



きみと ぼくと しあわせと

いなくなったあとにおもいをのこすのはうんざりだもの だからどうかあたしのことはわすれてちょうだい それがきっとしあわせにつながるはずだから どうぞ あたしをにくんでちょうだい