まさか置いていかれるなんて思っても見なかった。 本当に死んだの? どこかで、まだ 息してるんじゃない?   静かなる嘘と調和 目を開けると、私はとても綺麗な白い空間の白いベッド の上にいた。 ぼーっとする頭。何も考えたくない。 一番に思い出したスクアーロの死。 また涙が零れた。シーツが染みを作った。 「起きたか」 ザンザスが傍に居ることさえ気づかなかった。 構わず私は泣いていたけど、無理矢理腕を引っ張られて 起こされた。 「いつまで寝てる。泣いてる。うぜえ」 返答する気も起きなくて黙っていたら返事をしろと殴ら れた。それでもまだまだ私は無気力の儘で、やっと口 から出た言葉は「私はどうして生きてるの」だった。 「あ?なんつった」って聞こえたけれどもう何も言わな かった。最後に頬を殴られた。 痛みは感じない。(どうでもいいものだから) 「お前はそう簡単に死なせねえ」 「.....どうして?」 「俺のものだからだ」 訳が分からない。 いつ私が貴方のものになったというのでしょう。 私は誰のものでも無いし、もちろんスクアーロのもの でも無かった。 どうして私を生かしたの。あのまま私も海に放り投げて くれればよかったのに。そしてあの魚の腹の中でスクア ーロに会いたかった。 「また会ったね」ってあの人の血肉に言ってあげたかった。 「私は、ヴァリアーじゃない」 「黙れ」 「違う、違う、違う、違う 違う違う違う違う違う違う違」 ( こんなの望んでない! ) 貴方なら私を苦しまずに逝かせる事だって 容易な筈じゃない! 「うるせえよ」 「早く楽にしてよ」 「何回言わせるんだ、死なせねえ」 「貴方のものになった覚えはない」 「お前の言い分なんか知るか」 そういってザンザスは先程まで座っていた椅子を勢いよく 蹴り飛ばして部屋を出て行った。 乱暴に閉めた扉の音がやけに響いて、一層虚しさが増した。 --- to 03