此処には、色んなものが捨てられるそうです。

要らなくなったもの、なんでも。

物も、人も、何でも。


飛べない魚


「・・・喋れない?」
「(こく)」
「・・・ふーん。今日、来たの?」
「・・・(こく)」

私と違って、綺麗な黒い髪。
年はわからなかったけど、私よりは随分上。

名前は、クロロ。


「・・・あんた、名前は?」
「・・・(ぱくぱく)」

口をぱくぱくさせるだけじゃ、伝わらない。

「じゃあ・・・字、書ける?」
「(ふるふる)」
「・・・じゃあ適当に呼ぶけど、良い?」
「(こく)」

「あんた、生きるか死ぬか、どっちが良い?」

いきなり、無理難題。

回りを見渡すと本当に厳しい環境の様。
風が吹くたび塵が舞う。
積まれたごみがガタ、と音を立てる。
(其れが風のせいなのか、違うものなのか)
此処で生きるのは簡単じゃない。

さっきはあんなに死にたかったのに。

「・・・どっち?死ぬ?」
「・・・(ふるふる)」
「そう」

貴方のせい、なんて云わない。

「・・・じゃ・・・宜しく」


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流星街 
ここには何を捨てても許される
ゴミも 武器も 死体も 赤ん坊も
この世の何を捨てても
ここの住人は 
その全てを受け入れる

(抜粋・・・)